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【ヒロ】「明日叶、可愛い」
ぐいっと襟をつかまれ、引き寄せられた。
【明日叶】「んっ」
【ヒロ】「ん………」
南の国の果物と花とスパイス、そしてヒロの融け合った濃厚な甘い香りに包まれた。
とろりとした柔らかな感触が唇を塞いでいる。
【明日叶】「ん?」
【ヒロ】「ふふっ」
音になる直前の息づかいが重ねた唇の間に響く。俺の声も。
ヒロの声も。
【ヒロ】「……ん」
ヒロの唇がすぼめられ、俺の唇をやんわりとはさみこむ。
あれ?
これって。
もしかして。
キスだ。
【明日叶】「うあっ」
思わずヒロを押しのけようとすると。
ヒロの体は、ふわりと俺の体から離れていく。
【ヒロ】「ふふっ」
【明日叶】「ヒ、ヒロ? これはっ」
まじまじとヒロを見つめる。
さっきのキスの意味を知りたくて……。
【ヒロ】「やっとボクの方まっすぐ見てくれたね、明日叶」
【ヒロ】「ほんとの気持ち、やっとぶつけてくれた」
【明日叶】「え……?」
すっと立てた人さし指を軽く自分の唇に当てると、ヒロは目を細めて艶っぽく笑った。
【ヒロ】「ふふっ。いただき」
【明日叶】「なっ!」
俺が言い返すより早く、くるりとつま先立ちで優雅に半回転。
背を向けて走り出した。