【佐倉】「……なんか隠してるでしょう、二人して」
咄嗟に繕う俺の言葉を佐倉は勘繰ってくる。
【蒼山】「そんなことないよ。佐倉の気のせいだ」
【赤井】「そうそう。気のせい」
平然と振舞う蒼山に俺は同調した。
【佐倉】「嘘ばっかり。赤井くんと蒼山くん、今、目と目で合図してたでしょう。やーらしいな、もう」
【赤井】「合図なんてしてないだろう?」
【佐倉】「何、じゃあ今の無意識? いやーね、もう二人とも仲よすぎ。変だよ」
びしっと指を突きつけられて、断言されてしまう。
【赤井】「変って……なんだよ。別に普通だよな?」
【佐倉】「普通だと思ってるのが変。あー、もう、二人とも黙って立ってればイケてるのに、実は映画オタクの上に男同士でイチャイチャしてるなんて……」
【佐倉】「普段あたしのことを羨んでる友達はこの事実を知ったら、絶対同情してくれるに違いないわ」
佐倉は一人で自分の世界に走ってしまう。
【赤井】「失礼だなあ。映画オタクは認めるけど、俺たち別にイチャイチャなんかしてないよ。な、修平」
【蒼山】「ああ」
【佐倉】「……嘘ばっかり」