【Gray】「灯りを捨てろ」
穏やかながら、有無を言わさぬ口調に、森本は懐中電灯を地面に落とす。
外からの光が差し込まない中で、かろうじて男の輪郭だけがぼんやり浮かび上がっている。
黒いコートの男とはまた一風違う冷ややかな凄みが、目の前の男からは感じられる。
【森本】「お前は──あの男の仲間か」
俺を守るように背中に隠した状態で、森本は男に対峙する。
【Gray】「答える義務はない」
【森本】「俺たちをどうするつもりだ」
腹の底から振り絞るような声が発せられる。怒った肩が、森本の緊張を示している。
【Gray】「君たち次第だ」
一方、抑揚のない男の声からは、なんの感情も感じられない。